逼迫する日本の電力事情と先物取引
2021-02-12
この年末年始の寒波による消費増と燃料不足で電力需要が逼迫している。JEPX(卸電力取引所)での電力スポット価格は高騰し、新電力の調達に困難を来している。調達できたとしても新電力の経営に相当な打撃である。
JEPXでの取引量はこの3年で5倍、日本の発電量の3割に達している。一方、2019年9月にTOCOM(東京商品取引所)に試験上場された電力先物は取引が閑散としたまま。それに付随する現物取引のTOCOMウインドウも閑散としている。
経産省が絡むTOCOM市場の活用アピールが足りないのか、別の背景によるものなのか、折角の価格変動ヘッジ機能が宝の持ち腐れとなっている。なんとも不甲斐ない次第である。
そこへ、EEX(欧州エネルギー取引所)が先手を打って乗り込んできた。そして、この2月8日からはCMEグループがNYMEX(ニューヨーク・マーカンタイル取引所)に同様の電力先物を上場した。そのくらいに電力先物市場は活用が期待される背景にあるということ。かつて、日経225先物がCMEやシンガポール取引所(現)に上場されお株を奪われるほどの成長を見せたのと同様の期待値で海外取引所が参入してきている。
どの取引所から先に活用されるようになっても良いので、ヘッジ機能が上手く使われ、機能するようになってほしいもの。電力の安定供給の為にも、新電力の活躍と電力業界の発展のためにも。
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